ティーヌン海浜幕張店【力作:認知症の母の記憶呼び覚ますタイ料理】

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ティーヌン【力作:認知症のの記憶呼び覚ますタイ料理】

2023カレー052055食目、2023.2.21 2017年以来カレー3482食目

メニュー:ヤムウンセン 1070円、プーニムパッポンカリー 1800円、カオソーイ 1020円、●チャンビール

今回は力作のつもりです。

 

《認知症の親を抱える全ての人と、将来認知症の親を抱えるであろう方々へ》

(前段:介護で父を健康診断に連れて行った話、認知症の年寄りの話)

この日は221日、小生は介護休暇をとって父親を健康診断に連れて行ったのですが、足腰の痛みに悩まされる年寄りを簡易ストレッチャーに乗せたままの健康診断は、想像以上の激務でもうヘトヘトでした。対して、この日を37日だと思い込んだ母は妹を無理に呼び出して遠方の病院に連れて行ってもらったものの、日付を2週間も間違っていて、妹は忙しい身なのに1日を棒に振りました。

そして妹が帰ったのちに、実家を訪れた小生に、母は今日は「37日なのに、病院は違うというし、あの子(妹)は怒るし、自分は納得がいかない」と主張します。それでその後夕飯までの時間に20回近くも「今日は何月何日なの?今日は3月7日ではないの?」と尋ねました。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとう。将来あなたの身内にも、あなたにも起こりうる認知症の典型的な症状を紹介しているのです

認知症の年寄りは、自分の記憶に自信がないと、あるいは納得できないと、何度でも何十回でも何百回でも、あなたに同じ質問をします。そして、母は、今日が2月21日であることに、今日が3月7日でないことに、納得がいかないので、何十回も尋ねるのです。

 

(中断:ストレス発散の話:コーヒーの焙煎)

私の家庭用コーヒー豆焙煎機

その後、気持ちが穏やかならぬくらいに極度のストレスを感じたので、小生は、昨日自宅近くの輸入商で入手したスペシャルティコーヒー(ジャワアラビカ)を焙煎して気分転換することにしました。

フルシティローストに仕上げたジャワアラビカのコーヒーは、実に上出来で、華やかな気分にさせてくれる極上の風味がして、昇天の気分を楽しみました。コーヒーの焙煎って、ほんといいストレス発散になります。

 

(本題へ:認知症の母をタイ料理屋”ティーヌン海浜幕張店”に連れて行く話)

それで夕方になって、母をタイ料理屋に誘うことにしました。歩行も不満足で歩みの遅い母なのですが、それでも元気ではあるので、電車に乗って知らない店に行くくらいの刺激を与えた方がいいと思っています。それでこの日にきたのは、海浜幕張駅前のビルの3階にあるティーヌン海浜幕張店なのでした。

ここに来たのは18:50くらいなのですが、笑い声の聞こえる隣の居酒屋とは違って、十分に広い店内なのに全くお客さんがいません。このあと帰るまでに来た他のお客さんは1人だけなのでした。ちょっと心配になります。

ティーヌンは、食べログで検索したら14店舗もヒットするチェーン店です。ですから、タイ屋台飯を標榜する店としてのメニューが確立していて、味も安定したものを提供するだろうというのが小生の期待で、この認知症の母にも何かしらのよい刺激を期待して連れてきたのです。

 

(いざ、認知症の母にタイ料理を食べさせた話)

 

歯が2本しかない母には、そんな歯でも食べられるメニューを選択します。

それで、

・ヤムウンセン

・プーニムパッポンカリー

・カオソーイ

という選択をしました。

多少は噛むものくらいが食感も楽しめるのでちょうどいいのです。

 

料理を待つ間に、母は、「私はタイ料理は食べたことがないから楽しみだ」と言いました。私はそれを信じません。いくらなんでもそれは嘘だろう。80年も生きていればタイ料理も一度くらいは食べたことがあるはずだと伝えました。そんなはずはない、初めてだと主張する母ですが、食べ始めたら様子が変わりました。

 

ヤムウンセン

ヤムウンセンは春雨サラダですが、ちょっと辛いくらいの刺激がいいのです。春雨のツルツルとコリコリの食感。混ざり合うエビも含めて母の脳を刺激します。イカは食べられないので私が全部食べます。野菜も食べられないので私が全部食べます。そして首を傾げながら食べる母。何かを思い出そうとしているような様子です。

 

カオソーイ

 

カオソーイが先に出てきました。ここで母の様子が一変します。カオソーイはココナッツカレー味のスープで食べるタイ風カレーラーメンです。こちらのカオソーイは平打ち麺の中太なのですけど、パスタも食べられぬという歯のない母が夢中になって食べています。そして、これは美味しいとスープをおかわりして食べるのです。どうやら脳に良い刺激を与えたようです。

そして、母が語り始めました。

「私ね、若い頃、50代くらいだったかしら、お父さんの部下が勤める国に連れて行ってもらってゴルフしたの。その時トムヤンクンを食べたのだけど、トムヤンクンってタイ料理なの?トムヤンクンがあんまり辛くて私ほとんど食べられなくてね。ああ、そういえばタイの宮廷料理というのもおもてなしくださったわ。なんだ、私ったらタイに行ったことがあるのよ。でも、辛くて食べられなかったトムヤンクンしか覚えていない………

その後もとめどもなく話します。ほら、航空会社の昭和エリートの奥さんがタイ料理を食べたことないなんてことはあり得ないのです。世界各地を巡ってきた人生なのですから。ヤムウンセンとカオソーイは、確かに母の脳に何かを刺激し、30年も前に訪れたタイの記憶を呼び覚ましたのです。

 

プーニムパッポンカリー

プーニムパッポンカリーもいたく気に入って、食べていました。カレー風味のカニ玉ですから、歯がなくても食べられます。

 

チャンビールも気に入ったみたいです。

帰りしなに、また一つタイの思い出を語りました。「Zさんね、お役目じゃないのに、頼んでもいないのに、私達のタイ旅行に、無理やりついてきたのよ。ほんと、あの人ったら図々しいの。」余計なことは思い出さなくてもよかったのですが

 

というわけで、タイ料理が認知症の年寄りの脳によい刺激を与えたというお話なのでした。認知症の介護をしているあなたのあるあるになりましたでしょうか。そして、将来認知症の親を抱えるかもしれない貴方にも、記憶の片隅に残ることを祈っております。

 

めでたしめでたし

 

◆食べログ情報: ティーヌン海浜幕張店(食べログにリンクしています)

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